今日は『パリの炎』について。
コンクールでも人気のヴァリエーションで、トリコロールのたすきをしたり、トリコロールカラーをあしらった衣裳がかわいらしいのも特徴です。
ヴァリエーションだけでなく、パ・ド・ドゥも元気いっぱい快活な感じでとても人気があります。
バレエのグラン・パ・ド・ドゥは、たいてい2人のアダージオ(ゆったりした曲です)→男性V→女性V→コーダという構成ですが、『パリの炎』はアダージオではなく最初から元気いっぱいノリノリな感じで始まります。
なかなか全幕を見られる機会はないので、私もなんとなくのストーリーしかわかっていなくて、改めて勉強してみると勘違いもいっぱいでした
『パリの炎』はフランス革命を題材にした物語。
ヒロインの女の子の名前は、ジャンヌ。
えっ!パリ炎の主人公ってもしかしてジャンヌ・ダルク??と思ってしまいましたが、ジャン・ダルクはフランス革命ではなく、イギリスとの100年戦争の時の人でした・・・笑笑 歴史の知識が曖昧過ぎて、お恥ずかしい・・・
じゃああの有名な絵画の3色旗をかかげてる女の人??とも思いましたが、あの絵の女の人は、マリアンヌという名前で、実在の誰かというわけではなく、フランス共和国を象徴する女性像だそうで、自由の女神のモデルだそうです。
どちらも、パリ炎のジャンヌではありませんでした・・・
では、どんなお話かというと・・・
第1幕 第1場
舞台は1792年、革命の機運が高まる南仏マルセイユ郊外のボルガル侯爵の領地。
森に狩りにやってきたボルガル侯爵が、美しい村娘ジャンヌにしつこく言い寄るシーンから始まります。
そこへジャンヌの兄ジェロームが登場しジャンヌを救いますが、侯爵一行の反感を買い、因縁を付けられて牢屋に入れられてしまいます。
しかし、その一部始終を見ていた侯爵の娘アデリーヌは、ジェロームに一目惚れし、彼を逃がします。
もはやこの領地に居られなくなった兄妹は、義勇兵フィリップに入隊を志願し、義勇軍としてパリへ進軍します。ともにパリへ向かいます。
義勇兵フィリップ率いる義勇軍は、マルセイユの森からパリへ向けて進軍します。それを知った侯爵一味もアデリーヌを連れてパリに向けて出発します。
第1幕 第2場
その頃パリのヴェルサイユ宮殿では、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットを中心に貴族が集まり、優雅に宮廷バレエを楽しみながら、王朝の繁栄を祈る乾杯が行なわれ、将校たちは王への忠誠を誓いました。
すると突然、義勇軍による革命歌「ラ・マルセイエーズ」が響き、宮廷の役人や将校たちは慌てふためきます。
第2幕
パリの広場では、民衆がワインと踊りで義勇軍を歓迎している中で砲撃の爆音が響きます。 それが合図であったかのように王宮を襲撃。 その先頭に立っているのは、フィリップ、ジェローム、そして三色旗を手にしたジャンヌでした。
混乱の中で宮殿から抜け出したアデリーヌを発見したジェロームは、行き場のない彼女を義勇軍へと招き入れます。
ついに宮殿は占拠され炎が燃え盛る広場には人々が溢れ、君主制の瓦解とフランス共和国の誕生が宣言され、新時代の幕開けとなりました。
第3幕
舞台はチュイルリー宮殿。民衆が勝利を祝って踊っています。
そしてこの日はジャンヌとフィリップの結婚式!新共和国の第1号カップルとして結婚を認められ祝福されます。
ここで披露されるのが、あの有名なグラン・パ・ド・ドゥです!
人々は歓喜し祝祭を続けていましたが、革命軍の勝利の陰で敗北した側は理不尽で残酷な仕打ちを受けることとなります。
広場にはギロチンが用意され、元宮殿兵や貴族たちが連行されていきます。その中に自分の父親を見つけたアデリーヌは、ジェロームたちの引き留めを振り切り、父の元へ駆け寄ります。その姿を見た民衆は、「アデリーヌにも死を!」と声を上げ始め、彼女もギロチン台へ連れていかれてしまいます。そして彼女を救うことができなかったジェロームが無念に打ちひしがれて物語は終わります。
革命の成功と結婚の喜びいっぱいのグラン・パ・ド・ドゥの後に、まさかこんな衝撃的なラストがあるとは・・・
物語りは、フランス革命のよい部分だけではく、その裏には多くの犠牲があったこともちゃんと描かれているんですね。
でも物語り全体を知ると、グラン・パ・ド・ドゥの場面が、いかに歓喜に沸いて盛り上がった雰囲気なのかというのが想像できます。
そのくらいテンションを上げて踊らなくちゃいけないってことですね