2021年5月
『パリの炎』はフランス革命のお話!
今日は『パリの炎』について。
コンクールでも人気のヴァリエーションで、トリコロールのたすきをしたり、トリコロールカラーをあしらった衣裳がかわいらしいのも特徴です。

ヴァリエーションだけでなく、パ・ド・ドゥも元気いっぱい快活な感じでとても人気があります。
バレエのグラン・パ・ド・ドゥは、たいてい2人のアダージオ(ゆったりした曲です)→男性V→女性V→コーダという構成ですが、『パリの炎』はアダージオではなく最初から元気いっぱいノリノリな感じで始まります。
なかなか全幕を見られる機会はないので、私もなんとなくのストーリーしかわかっていなくて、改めて勉強してみると勘違いもいっぱいでした
『パリの炎』はフランス革命を題材にした物語。
ヒロインの女の子の名前は、ジャンヌ。
えっ!パリ炎の主人公ってもしかしてジャンヌ・ダルク??と思ってしまいましたが、ジャン・ダルクはフランス革命ではなく、イギリスとの100年戦争の時の人でした・・・笑笑 歴史の知識が曖昧過ぎて、お恥ずかしい・・・
じゃああの有名な絵画の3色旗をかかげてる女の人??とも思いましたが、あの絵の女の人は、マリアンヌという名前で、実在の誰かというわけではなく、フランス共和国を象徴する女性像だそうで、自由の女神のモデルだそうです。

どちらも、パリ炎のジャンヌではありませんでした・・・
では、どんなお話かというと・・・
第1幕 第1場
舞台は1792年、革命の機運が高まる南仏マルセイユ郊外のボルガル侯爵の領地。
森に狩りにやってきたボルガル侯爵が、美しい村娘ジャンヌにしつこく言い寄るシーンから始まります。
そこへジャンヌの兄ジェロームが登場しジャンヌを救いますが、侯爵一行の反感を買い、因縁を付けられて牢屋に入れられてしまいます。
しかし、その一部始終を見ていた侯爵の娘アデリーヌは、ジェロームに一目惚れし、彼を逃がします。
もはやこの領地に居られなくなった兄妹は、義勇兵フィリップに入隊を志願し、義勇軍としてパリへ進軍します。ともにパリへ向かいます。
義勇兵フィリップ率いる義勇軍は、マルセイユの森からパリへ向けて進軍します。それを知った侯爵一味もアデリーヌを連れてパリに向けて出発します。
第1幕 第2場
その頃パリのヴェルサイユ宮殿では、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットを中心に貴族が集まり、優雅に宮廷バレエを楽しみながら、王朝の繁栄を祈る乾杯が行なわれ、将校たちは王への忠誠を誓いました。
すると突然、義勇軍による革命歌「ラ・マルセイエーズ」が響き、宮廷の役人や将校たちは慌てふためきます。
第2幕
パリの広場では、民衆がワインと踊りで義勇軍を歓迎している中で砲撃の爆音が響きます。 それが合図であったかのように王宮を襲撃。 その先頭に立っているのは、フィリップ、ジェローム、そして三色旗を手にしたジャンヌでした。
混乱の中で宮殿から抜け出したアデリーヌを発見したジェロームは、行き場のない彼女を義勇軍へと招き入れます。
ついに宮殿は占拠され炎が燃え盛る広場には人々が溢れ、君主制の瓦解とフランス共和国の誕生が宣言され、新時代の幕開けとなりました。
第3幕
舞台はチュイルリー宮殿。民衆が勝利を祝って踊っています。
そしてこの日はジャンヌとフィリップの結婚式!新共和国の第1号カップルとして結婚を認められ祝福されます。
ここで披露されるのが、あの有名なグラン・パ・ド・ドゥです!
人々は歓喜し祝祭を続けていましたが、革命軍の勝利の陰で敗北した側は理不尽で残酷な仕打ちを受けることとなります。
広場にはギロチンが用意され、元宮殿兵や貴族たちが連行されていきます。その中に自分の父親を見つけたアデリーヌは、ジェロームたちの引き留めを振り切り、父の元へ駆け寄ります。その姿を見た民衆は、「アデリーヌにも死を!」と声を上げ始め、彼女もギロチン台へ連れていかれてしまいます。そして彼女を救うことができなかったジェロームが無念に打ちひしがれて物語は終わります。
革命の成功と結婚の喜びいっぱいのグラン・パ・ド・ドゥの後に、まさかこんな衝撃的なラストがあるとは・・・
物語りは、フランス革命のよい部分だけではく、その裏には多くの犠牲があったこともちゃんと描かれているんですね。
でも物語り全体を知ると、グラン・パ・ド・ドゥの場面が、いかに歓喜に沸いて盛り上がった雰囲気なのかというのが想像できます。
そのくらいテンションを上げて踊らなくちゃいけないってことですね



タリスマンはお守り⁉
今週末のコンクールに向けて、発表会後もヴァリエーションレッスンが続いています
今練習中の作品のひとつは『タリスマン』
『タリスマン』はコンクールでもよく踊られる人気のヴァリエーションですが、全幕を舞台で観る機会はなく、せいぜいガラコンサートなどでパドドゥを見かけるくらいです。実は『タリスマン』はインドを舞台とした愛の物語で、バヤデールと似ているために全幕が上演されなくなったという説もあります。
タイトルの『タリスマン』とは実は『お守り』という意味で、ヒロインの女神ニリチが落としてしまう物語のカギとなる小道具なのです!
コンクールでよく踊られているのは、ヒロインのニリチのヴァリエーションですね。
ではどんなお話なのでしょうか...
プロローグ (天界)
女神ニリチは、父である神の命令で、修行のために地上に遣わされることになりました。 母のアマルヴァティは、ニリチにタリスマン(お守り)を渡します。「 このお守りを持っていれば、いつでも天界に戻ることができます。でも決して人間に恋をしてはいけません。恋をしたら天界に戻れなくなりますよ。」と伝え、お供に風の神ヴァイユを付けてニリチを送り出しました。
-第1幕- (下界)
北インドの藩主ヌレディンは、王であるアクダルの娘、ダマヤンティと婚約しています。 しかしヌレディンは結婚に乗り気ではありません。 憂鬱な気持ちを晴らすべく、ふらりと旅に出たヌレディンは、いつしか道に迷ってしまいました。 そこに、下界に到着したニリチがあらわれ、ヌレディンは一目惚れしてしまいます。 思わず抱きしめようとするヌレディン。 ニリチはびっくりしますが、お供のヴァイユが風を起こしてくれたために逃げることができました。 しかしこの時タリスマンを落としてしまい、ヌレディンに拾われてしまいます。
-第2幕-
王アクダルの宮殿で、ヌレディンとダマヤンティの婚礼の準備が進められています。 皆は晩餐の場へ移動しますが、ヌレディンは一人その場に残り、ニリチへと思いを馳せます。 そこへニリチが現れ、タリスマンを返して欲しいと頼みます。 しかしヌレディンは、タリスマンを返してしまったらニリチが帰ってしまうと思い、頼みを断ります。 失意のニリチが消えたところへ、王アクダルとダマヤンティが現れます。 アクダルは婚礼の儀式として、皆の前で夫婦の契りを交わすように促します。 しかしヌレディンは、「他の女性を愛してしまったので、結婚はできない」と伝えます。 ダマヤンティはショックのあまり気を失い、アクダルは激昂してヌレディンに襲い掛かります。 兵士が入り乱れて争いが始まる中、突然火柱が上がり、争いどころではなくなりました。 ヌレディンが死んでしまっては、タリスマンを取り戻せないと考えた風の神ヴァイユが魔術で争いを止めたのです。 そしてニリチは、ヌレディンの情熱に心を動かし始めます。
-第3幕-
王の宮殿から帰る途中、ヌレディンは僧正と女奴隷に出会います。 それが変装したヴァイユとニリチであることを見抜いたヌレディンは、ヴァイユに酒を飲ませて酔わせ、ニリチをさらいます。 ニリチはヌレディンを責め、タリスマンを返すように繰り返し言います。 しかしヌレディンは頑として受け入れず、「地上に留まって、妻になって欲しい」と迫ります。 頼みを聞き入れてくれない悲しみから、ニリチは短剣で自殺を図ります。 ヌレディンは咄嗟にそれを止めますが、ニリチの態度に怒り、タリスマンを彼女の足元に投げつけます。 タリスマンを取り戻したニリチは、天界へ戻ろうとします。 しかし、ヌレディンの両目に光る涙を見て、激しく心を揺さぶられます。 天界へ戻るか、愛を選ぶか。 そして、ついにニリチは愛を選択し、持ち主を失ったタリスマンだけが天界へと戻っていくのでした。
ストーリーもバヤデールよりわかりやすいし、上演されなくなってしまったのがとても残念・・・
全幕バレエとしては登場人物が少ないのか、場面に変化が少ないのがいけないのか・・・、個人的な意見ですが、間で夢の場面とか、幻想の場面とかがあったら、ばっちり人気の全幕バレエになりそうな感じがします。
全幕で見てみたかったなぁ・・・




ライモンダってどんなお話?
先日の発表会でも、少し登場した『ライモンダ』という作品。
作品の中に登場するヴァリエーションも多く、なんと主役のライモンダのソロヴァリエーションだけでも、1幕に3回、2幕に1回、3幕に1回あります。他の作品では1幕に1曲がふつうなので、1幕だけで3曲は多いですね。曲調も、かわいらしい曲から、かっこいい曲、大人っぽい曲まで、雰囲気のまったく違う曲がたくさんあるのも特徴で、私も大好きな曲がたくさんあります
『ライモンダ』は、中世ヨーロッパ、フランスのプロバンス地方が物語の舞台。十字軍の時代のお話。
主な登場人物は、主役の美しい娘ライモンダ、ライモンダの婚約者のジャン・ド・ブリエンヌ、サラセン(アラブ)の騎士アブデラフマン。
では、どんなお話なのかというと・・・
第1幕
《第1場》
物語は、ドリス伯爵夫人の館で開かれた姪っ子ライモンダの誕生日パーティーから始まります。
パーティーの最中、ライモンダの婚約者ジャン・ド・ブリエンヌが翌日十字軍としてハンガリー王と共に遠征することが伝えられます。
ジャン・ド・ブリエンヌは別れを惜しみながら、愛するライモンダにヴェールをプレゼントし、出征するのです。
ライモンダが1幕で踊る2曲目のヴァリエーションが、このヴェールを持った踊りですね。
《第2場》
ジャンが去った後、ライモンダは友人たちと踊りますが、いつの間にか眠ってしまいます。
夢の中には、預言者という言い伝えのある白い貴婦人があらわれ、ライモンダを幻の世界へ連れていきます。
ライモンダはジャンの幻と幸せに踊っていましたが、ジャンは突然消え去り、代わりに見知らぬサラセン人の男が現われて情熱的に愛を訴えます。ライモンダは困惑して飛び起き、不吉な夢だったことに気づきます。
第2幕
今日はライモンダが待ちに待ったジャンが遠征から帰還する日です。ドリス伯爵夫人の館では、彼の帰還を祝うパーティーが開かれていました。
館には招待客が続々とやってきますが、ジャンはなかなか到着しません。そこへ、サラセンの騎士アフデラフマンが登場します。アブデラフマンは、ライモンダの美貌を聞きつけて、アラブの国からやってきたのでした。
そこでライモンダは驚きました。彼の姿は、夢の中で見た見知らぬサラセン人の男とそっくりだったからです。
不吉に感じたライモンダは、アブデラフマンを追い払おうとしましたが、アブデラフマンは熱烈に求愛し、ライモンダが拒否すると、無理やり連れ去ろうするのでした。
そこへジャン・ド・ブリエンヌ一行が帰還します。ジャンはことの次第を知り、愛するライモンダを取り戻すため、アブデラフマンに決闘を申し込みます。そして決闘の末、ジャンが勝利し、アブデラフマンは死んでしまいました。
第3幕
館ではライモンダとジャン・ド・ブリエンヌの結婚式が華やかに執り行われようとしています。2人はハンガリー王の前で永遠の愛を誓います。
3幕のライモンダのヴァリエーションは、手を叩く振りのあるカッコいい踊りですが、結婚式の踊りにしてはちょっと暗いというか(笑笑)、あまり笑顔で踊っている人を見かけないのは、好きな人ではなかったにしても、自分を好きだと言ってくれた人が直前に亡くなっているということもあるのかもしれませんね。
物語の舞台設定は、フランスのプロバンスですが、ハンガリー国王が登場するので、衣裳も曲も踊りもハンガリーらしい雰囲気が感じられます。特に3幕はそれが強く出ている気がします。そして、アブデラフマンがサラセン人(アラブやイスラムのあたりを指すのだと思います)なので、ところどころに異国情緒が感じられるのもライモンダの醍醐味かなと思います。
ちなみに今回の発表会では、いろいろな場面から私の独断で(笑笑)ヴァリエーションを選びましたが、1曲目は第3幕の女性Vで最もハンガリー色の強い踊り、2曲目のかわいらしい曲は第1幕第2場から女性V、3曲目が第2幕からの曲で少し異国情緒を感じられる面白い曲でした。4曲目は第2幕のライモンダのV、5曲目は第1幕第2場のライモンダのV、アントレとコーダは第3幕のものを使いました



ステップはバレエの肝⁈




