2020年11月
楽しい習い事を見つけるには?
子どもに何か習いごとをさせようかなと考えたとき、楽しく通ってくれるのか、きちんと力がつくのか、ちゃんと続けてくれるのか…、いろいろ考えてしまいますよね。
どうしたら楽しめる習いごとが見つかるのか、また、さらに習いごとを楽しむ秘訣をご紹介しようと思います。
①習いごとを選ぶ基準は?
まず最初に何を習うか決める基準は、本人がやりたいこと、親が身につけさせたいこと、の2つかと思います。小さい頃は可能性の塊なので、体力や身体能力・音楽性やリズム感・創造力や芸術性・知的能力・社会性や協調性などなど、親としては伸ばしたいところや身に着けてほしいことはたくさんあります。ただ幼児であっても、本人がやりたい楽しいと思わないものをやっても続かないので、とにかく本人が関心・興味があるもの、好きだと思うものを優先して選ぶことが大切です。本人の希望と親の想いをうまく擦り合わせて選ぶのがベストですね。
②どのあたりで楽しいと感じるのか。
本人が楽しいと感じないと習いごとは続かないと言いましたが、ではどんな理由で習いごとを楽しい!と感じるのか。そのポイントは、大きく分けて3つあると私は考えています。
ひとつ目はとにかくその習いごとの内容が好き・憧れがある、2つ目は適度に目標があり達成感が感じられる、3つ目は仲間や先生との時間が楽しい、ということです。
どんな習いごとでも楽しいことばかりではなく、成長するためにはつらい努力や鍛錬が必要で、どんなに好きなことであっても、子供の場合にはそれが嫌ですぐに辞めたいと言い出すこともよくあります。それを乗り越えてでも楽しく続けるには、わかりやすい目標があったり、一緒に頑張れるいい仲間がいたり、といった要素がとても大切になってきます。
3つ目の要素は意外と見落としがちではありますが、習いごとをする中で、保育園・幼稚園や学校以外の友達・仲間と出会えること、親や家族以外にも見守ってくれ信頼できる大人や先輩ができること、はとても有意義なことです。子どもにとって、学校や家庭以外にも居場所があることはとても大切で、特に小学生・中学生…と育ってきたときに、その大切さに本人も親御さんも気がつかれることが多いようです。
③何歳からはじめるのがいい?
次に悩むのは、いつから始めるか。これは、習い事の内容や本人の性格によっても変わってきますが、習いごとにはそれなりに費用もかかりますし、送迎なども含め親にも多少の負担はあるので、親としては重要な点ですよね。
私が指導している中での経験からいくと、年中さん~年長さんあたりで、身体能力も一気にあがり、理解力も格段に成長します。この時期からの子供の吸収力は、本当に驚くことの連続です。それを考えると、どういった習いごとであっても、たいていのものは4~5歳前後から始めるのがよい気がします。
バレエについて言うと、早い子は2歳後半くらいから始めていますが、はじめのうちはバレエの技術を身に着けるというよりは、体が柔らかいうちから柔軟性が落ちないようにしたり、クラシックのバレエ音楽に親しんだり、音楽にのって動く楽しさを感じたり、ご挨拶などのマナーを覚えたりが主です。体や筋力の発達もまだ不十分なので、4~5歳まではスキップもできなくても何も心配ありません。うちの子はちっともできるようにならない…と思わず、親御さんも楽しくやってるからOKくらいのおおらかな気持ち見守ってあげていると、急にいろいろなことを理解して、体の動きもどんどんよくなる時期がやってきます。
体の堅い子も、本人が理解して努力し始めると一気に柔軟性がアップしたりします。
早く始めるのだけがいいわけではないですが、早く始めた子ほど、音楽性や自然な動きが得意な傾向にあるとは感じます。バレエの場合は、体の動きも音楽もとにかく体に染み込ませることが重要なので、ある程度のレベル以上に踊れるようになることを目指すならば、遅くとも小学1年生くらまでには始めたほうがいいですね。
④習いごとをより楽しむためには?
楽しく感じられる習いごとを見つけて通い始めても、少し飽きてきたり、マンネリになってきたり、子供は大人以上に気まぐれなので、気持ちに波があるのも当然です。
そこで、おうちでも少し協力してあげることで、大好きな習いごとがさらに楽しく有意義なものになります。
例えば、習っているものについてご家庭でも話題に出したり、家族で興味をもってあげるだけで、本人もより楽しめるようになります。さらに、プロの試合や舞台などを家族で見に行ってみたり、テレビや雑誌などでその話題を見かけたら、それを会話の中で話題に出してみたりすると、さらに興味や目標が見えて楽しめるでしょう。
また習ってきたことやできるようになったことを、本人が教えてくれたり披露してくれたりした時には、とにかく思い切りほめてあげましょう。もっとこうしたほうが…と大人には思えることもあると思いますが、指導や注意は先生やコーチに任せて、おうちではその出来栄えや頑張りをほめてあげることに徹するほうが楽しく続けられます。おうちでは、お父さんお母さんがあえて生徒になって教えてもらったりするのもいい方法です。家族のいいコミュニケーションになるだけでなく、人に教えることで本人も学びになり、またとてもいい自信につながります。
バレエと新体操を習っている我が家の娘は、身体のかたいパパに、不定期でストレッチ教室を開いていました(笑笑)。自分のほうができるという自信とともに、さらに頑張って身体をやわらかくしようという意欲につながっていたようです。こうして自分自身でやる気になっているときの子供の力は無限大。先生や親が口うるさく言うよりも、本人のやる気を引き出すことが、能力が開花する近道です。
いずれにしても、習いごとは、新たな才能を開花させるもの、そしていろいろな意味で日常や人生を豊かにするものです。場合によっては、その習いごとが将来につながっていったり、またその時の縁が一生ものになることもあります。素敵な習いごとや仲間との出会いがある人生は幸せだなと思います。
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クラッシックバレエって?
先日、バレエとは無縁の友人と話をしていて、「クラシックバレエって言うけど、クラシックじゃないバレエもあるの?」と聞かれました。確かに…バレエに詳しくない人にはわからないですよね。。。
バレエと聞いて、たいていの人が思い浮かべるのが『白鳥の湖』でしょうか?
お笑いのネタなどでも使われることがあったり、たぶんバレエを知らない人でもわかるイメージが白鳥なのかな~と思います。
『白鳥の湖』のように、チュチュを着て、トゥシューズを履いて…というのがまさにクラシックバレエですが、クラシックバレエの中にも種類があったり、その他にもモダンバレエ、コンテンポラリーといったものがバレエのカテゴリーの中にあります。
どのような違いがあるかというと、クラシックバレエは、音楽も振り付けも衣裳も基本的に決まった型ががあり、その型に沿った形で美しさを表現していきます。これに対してモダンバレエやコンテンポラリーは、曲も振り付けも衣裳も自由なので、クラシックバレエの基礎をもとにしながらも、限りなく自由な表現ができるのが特徴です。
こういった違いには、バレエの歴史が大きく関わっているので、歴史に沿ってご説明したいと思います。
クラシックバレエの歴史
踊りは、大昔から世界中でお祝いやお祭りなど、生活の中で折に触れて踊られてきました。日本でも、盆踊りや各地のお祭りで踊られる民舞(ソーラン節・はねこ踊り・阿波踊り・エイサーなどなど…)がまさにそうですね。見て楽しむものではなく、みんなで踊って楽しむものでした。
それが、ダンサーと観客が分かれ舞台芸術としてバレエが起こったのは、イタリアのルネッサンス時代と言われています。この時代のイタリアの貴族やお金持ちは、祝宴でお客様をもてなすために、踊りを見せること始めました。こういった催しは次第に華やかになり、バレエとしての形が出来上がっていきました。特に北イタリアのミラノはバレエの中心地となり、バレエは当時の祝祭での催しものを代表するものになりました。ルネッサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチやボッティチェリが舞台装置や衣裳をデザインしたこともあるそうです。なんと贅沢…。そしてバレエはイタリアからヨーロッパ中に広がっていきました。特に、イタリアのメディチ家からフランス王アンリ2世のもとに嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスは、イタリアから音楽家や役者やダンサーを連れていき、大がかりなバレエを上演させました。これ以降、バレエの中心はイタリアからフランスへと移っていきました。
フランスの歴史の中で最も偉大な王様といわれるルイ14世は、バレエ好きとしても有名で、国政のかたわら、熱心にバレエの保護・育成に力を注ぎました。自らもたびたびバレエ公演に出演し、最後に演じた役が太陽の役だったことから、「太陽王」と呼ばれるようになったとも言われています。
ルイ14世は1669年にパリにオペラ座を建設、1713年にはプロのバレエダンサーを養成するパリ・オペラ座バレエ学校を創設しました。さらに舞踊の技術的な向上・完成のために、自身のバレエ教師であり、王立舞踊学校の教師でもあったシャルル・ルイ・ボーシャンに、バレエの教則本を作らせました。こうして、今日でもバレエの基本である脚の5つのポジションや舞踊符が確立され、バレエは舞台芸術として体系化されていきました。
18世紀後半にフランス革命が起こると、伝統や権威に反発し自由な神秘的なものを重んじるロマン主義がヨーロッパを席捲し『ロマンティックバレエ』が誕生しました。「ラ・シルフィード」や「ジゼル」のような、妖精や悪魔が登場する幻想的なものやエキゾチックな異国情緒溢れるもの、そしてくるぶし丈のふわっとしたチュチュ(ロマンティックチュチュといいます)を着てポアントで軽やかに踊られるのが特徴です。
フランスではこの後一時バレエが衰退してしまいますが、ロシアで大きく発展することになります。
1738年には現在も有名なワガノワ・バレエ・アカデミーがロシア初の帝室音楽演劇舞踏学校として設立されました。それ以降、ロシアの皇帝たちはバレエを手厚く保護し、ヨーロッパから多くのダンサーや振付師がロシアに訪れ活躍しました。そして1847年、フランスからダンサーで振付家でもあるマリウス・プティパが招かれ、「ファラオの娘」「ドン・キホーテ」「眠れる森の美女」「ライモンダ」などを作りました。またロシアの振付家イワーノフとともに「白鳥の湖」「くるみ割り人形」など現在も大変人気のある全幕バレエの数々を作り、『クラシックバレエ』を確立しました。バレエの技術も飛躍的に発展し、素晴らしい足さばきがよく見えるように、スカート丈の短いクラシックチュチュができました。それにより、さらに跳躍や回転の技術も上がり、華やかなステップが次々と開発されたそうです。しかし、プティパやイワーノフの時代が去ると、ロシアのバレエは勢いを失います。そして、19世紀~20世紀にかけ、バレエは新鮮味のないものの代表のようになってしまいました。
モダンバレエの歴史
ロシアで華やかなグランド・バレエが飽きられていた頃、アメリカでモダン・ダンスの祖といわれるイサドラ・ダンカンが現われました。彼女はクラシックバレエのように窮屈な衣裳や不自然な靴を履くのを否定し、素足でゆるやかない衣裳をまとって踊りました。その踊りは、クラシックバレエのように物語を伝えるのではなく、心の中や情緒を自由に表現するものでした。彼女の踊りに衝撃を受けたロシアのミハイル・フォーキンは、クラシックバレエにはない新しいステップや民族舞踊を採り入れた、革新的な振り付けを発表します。そのモダン・ダンスの要素を取り込んだバレエが『モダンバレエ』です。
その後フォーキンは、セルゲイ・ディアギレフという興行師に見い出され、パリで公演を行いバレエブームを巻き起こします。そしてディアギレフが結成したバレエ・リュスよって、「火の鳥」「ペトリューシュカ」「春の祭典」「牧神の午後」など、現在でも有名な作品が発表されました。
コンテンポラリーとは…
ローザンヌ国際コンクールなどでも踊られるコンテンポラリー。最近では、日本国内のバレエコンクールでもコンテンポラリーの部門があったり、コンテンポラリーのクラスがあるバレエ教室も増えてきました。モダンバレエとごちゃまぜになりがちなコンテンポラリーですが、モダンバレエがクラシックバレエに反発してできたのに対し、新たな表現を求めてクラシックバレエの要素とモダンバレエの要素の両方を採り入れ、20世紀中頃以降にできた抽象的な踊りがコンテンポラリーです。決まったメソッドがあるわけではなく、様々なスタイルが取り入れられるので、とても高度なテクニック・身体能力が必要です。
今、踊られているバレエは…
現在バレエの舞台で観ることができるバレエは、大きく分けて『ロマンティックバレエ』『クラシックバレエ』『モダンバレエ』『コンテンポラリー』ですが、バレエ団によって、得意分野や、どのジャンルの作品が多いかの比重は様々です。
またバレエ教室は、たいていクラシックバレエ教室とモダンバレエ教室に分かれますが、この場合『ロマンティックバレエ』に関しては、古典作品ということで『クラシックバレエ』とまとめて考えられています。さらにクラシックバレエの教室でも、モダンやコンテンポラリーのクラスがあったり、特別にクラスは設けていなくても、モダンやコンテンポラリーの要素を取り入れた作品作りをしている教室もあります。
さて、歴史に沿ってバレエにはどんな種類があるのか…というお話をしてきましたが、アンレーヴではクラシックバレエ(もちろんロマンティックバレエも含みます)のレッスンをしています。ただ、クラシックバレエの基礎や十分な筋力・身体能力が身についているレベルのクラスの生徒達には、コンテンポラリーの作品を振付して発表することもあります。それには、私なりの考えというか、作戦があってのことなのですが…笑笑。それはまたの機会にお話ししようかな…と思います。
ミニスタジオパフォーマンス、お疲れ様でした!














